海洋学校

夏島海洋学校

自然というものは、常に普遍的に繰り返されてきました。これは循環性或いは周遊性という運動です。
地球というものを見ても自転しながら公転していますし、太陽や月にしてもやはり出発したところに再
び戻ってくるようになっています。
春に芽吹いた植物は夏という成長期間を過ぎ、秋には実を結び、冬という休息期間を過ごし、また春
には目を出し始めます。
水にしても海から出発して山に行き、また川を下りまた再び海に戻ってきます。
この水の循環の途中にあなたの体も在ります。人体の60~70%は水で毎日、腎臓が老廃物を取り出
し尿として排出しています。体の中でも水の循環が常に行われています。
海の中でも同じように全てのことが、繰り返されています。
ウミガメも生まれた島に戻ってきますし、アジやバラクーダなどの回遊する魚たちもたいへん多いです。
鮭は川の上流で育ち、川を下り大海を泳ぎ、やがて成魚になって再び同じ川に戻り、産卵をするため
に上流を目指します。

海中の世界は食物連鎖そのものです。しかし、これは弱肉強食というわけではなく、お互いの種族を
保存させていくための連鎖です。
強者が弱者を滅ぼすものではないのです。
つまり、食物連鎖というのは、共生があって成り立つもので、そのことによって自然界のバランスが保
たれるようになっているわけです。

共生・・・ここでは、生物が関係を持ちながら共に生きること

珊瑚と褐虫藻とオニヒトデの共生。
珊瑚と褐虫藻(植物プランクトン)はどのように共生をしているのでしょう。
褐虫藻は、サンゴが呼吸により出した二酸化炭素などの老廃物を利用して光合成をおこない、
それによって生産された物がサンゴの栄養分となるのです。
サンゴが必要とする栄養分のほとんどが、褐虫藻の生産物で、まかなわれます。
サンゴの多くは夜になると、触手を伸ばし動物プランクトンを捕食し、足りない栄養を補ってます。
また、褐虫藻の光合成により、サンゴの体内がアルカリ性になり、骨格の生成を促進します。
褐虫藻はサンゴに栄養分を与えるだけでなく、サンゴ礁の形成にも役だっているのです。
では、珊瑚とオニヒトデはどうでしょう。
これは、まさに食物連鎖でオニヒトデが捕食者で、珊瑚が被捕食者です。
しかし、オニヒトデもホラガイ、フリソデエビ、モヨウフグにとっては被捕食者です。
これらの生物は食物連鎖の一部であり、みな共に生きているといえます。
決して弱肉強食の世界ではない、決して単体では生きられないことはお分かりになると思います。
このように自然界は共生によって全て成り立っています。

植物などもそうです!南方におけるジャングルがどのように形成されていくかというと、はじめは砂地
しかなかった島に一つの椰子の実が流れ着きます。そして4年の歳月が経つとやがて30個ほどの
椰子の実を付け始め、これらが地面に落ちさらに各々が30ほどの実を付け始める・・・最初の椰子
が砂だけの無人島に到着してから8年後には数十本の椰子の木ができるわけです。
そしてそれらの木に飛んでいた鳥が留まりだします。そのことによって鳥の体や糞の中にある植物
の種が地面に落ちて様々な植物を作り出していきます。最初は風に強い植物から成長していき、
ある程度の植物が成長し出すと花が咲き始め、今度は花の蜜を吸う鳥や昆虫たちがやってくるよう
になります。
日陰ができればそこにはシダなどが生い茂ります。このようにしてジャングル形成がなされます。
そして、そのジャングルで育った椰子の実が、海に流れ、砂の島にたどり着きます。

自然界の多くのものがいかに共生を行っているか、様々な生物や植物などがお互い深い関わり
合いをもって存続しているか、の例を挙げてきました。

これらのことをスノーケリングやダイビングにより水中をのぞき、釣りをし、また、ジャングルを歩き、
現地人の生活に接し、より論理的に海洋自然の摂理を学ぶため「海洋学校」を設立しております。
また、ボランティア活動も行います。
自然は人間にとっても最大の教師であり、父母のような存在だといえます。
その自然の恵みに感謝し、「人間と自然との調和」ということをテーマに自然を真剣に学ぶ時が来
ています。

多くの方々がこの海洋自然の素晴らしさを理解され、自然界が共生によって成り立っているが如くに
私たちもより多くの方々の為に生き、世界の多くの人たちが自然保護こそ人類保護であるということ
に気ずき、個人において自然保護に向けて出発されることを願ってやまないものであります。